ハカセKの書斎

ある技術者の独り言

書く技術

■はじめに

 元マッキンゼーのバーバラ・ミント氏による「考える技術・書く技術」から「書く技術」の部分をまとめてみました。

■なぜピラミッド構造なのか?

 文章の構造をピラミッド型で構成し、トップダウンに展開すると理解しやすくなります。それは、ピラミッド型の展開が、読み手の頭の中で起こる基本的なメカニズムを反映しているからです。このメカニズムとは一定の規則に従って情報を整理しようとする性質で、トップダウンに配列することと、先に全体を要約する考えを述べ、その後に個々の考えを一つずつ説明していくことが大切です。

 適切なピラミッド構造かどうかチェックするのに必要な三つの鉄則があります。

 ① メッセージは下位グループ群を要約するものであること

 ② 各グループのメッセージは、常に同じ種類のものであること

 ③ 各グループのメッセージは、常に論理的に順序づけられていること

 わかりやすい文章を書くポイントは、まず個々のメッセージをピラミッド型に並べてみて、三つの鉄則に照らし合わせてみることが大切です。

ピラミッド構造の内部構造はどうなっているか?

 ピラミッド構造のフレームは、次の三つから構成されています。

 ① 主ポイントと補助ポイント間の縦の関係

 ② 補助ポイント同士の横の関係

 ③ 導入部のストーリー展開

 まず、縦の関係ですが、これは、質疑応答の対話形式で答えの理由づけをしていけば、読み手の興味を惹きづけることができます。そして、補助ポイント同士の横の関係には論理性が求められます。このとき、帰納か演繹のどちらかを選択します。帰納的に書くのであれば、グループ内の考えは論理的に同じものでなければなりません。一方で、演繹的に書くのであれば、第二のポイントで第一のポイントの主語か述語について述べ、第三のポイントで先の二つのポイントから「それゆえに」と展開します。

 導入部については、読み手に関心を持ってもらうことが目的です。これには、古典的なストーリー展開のパターンである、「状況」「複雑化」「疑問」「答え」、によって記述すると分かりやすくなります。

ピラミッド構造はどうやって作るのか?

 ピラミッド構造を作る方法には、トップダウン型、ボトムアップ型の二つがあります。

 文章の主題が明確な場合にはトップダウン型で構造化すると良いです。作成の流れは次の通りです。①ピラミッド最上部の箱を埋める。②答えを導入部に一致させる。③キーラインを見つける。④サポートするポイントを組み立てる。

 一方、自分の考えを十分に把握できず、ピラミッドの頂点を完成できない場合は、ボトムアップ型を選択します。作成の流れは次の通りです。①ポイントをリストアップする。②関係を図示する。③結論を導く。

 作成において、いくつか留意すべき点があります。例えば、導入部については、過去の出来事は導入部に記載すると、読み手が合意する事項に限定すること、などが重要です。また、キーラインレベルの情報は演繹法よりも帰納法を用いるのが望ましいようです。

■導入部はどう構成すればいいのか?

 導入部の目的は、読み手がすでに知っていることを要約することによって、これから文章中で答えなければならない疑問を明らかにすることです。導入部では、「状況」「複雑化」「疑問」の順のストーリー形式で問題を提起し、その答えを本文で明らかにする形で文章を作成します。ここで、「複雑化」とは、多くの場合、「問題」ととらえて良く、状況を「複雑化」することが疑問の引き金となります。