■はじめに
仕事をするうえで、論理思考(ロジカルシンキング)は重要と言われますが、皆さんどのくらい使いこなされているでしょうか?私が社会人になったばかりの頃、上司から「論理的であるということは文章で表せることだ」と言われ、ピンとこなかったことを覚えています。今回は、東京マネジメントコンサルタント代表の後正武氏の著書を参考に、論理思考について考えてみます。
■論理の5つの基本ルール
論理の基本ルールを図1に示します。
ルール1:論理の基本単位は、単語でなく主語・述語で組み上げる一つのメッセージである
これは奇しくも私が上司に言われたことと同じ内容です。文章を書く際に、なんとなく書き下してしまうと、何か言いたいか分からない文章になりやすいです。これも上司に言われたことですが、英語で書くつもりで文章を書くと、文法を意識するので論理的な文章になりやすいです。
ルール2:メッセージを組み上げる基本構造には、「演繹」と「帰納」という二つの方法がある
これは、ギリシャ時代の哲学者、アリストテレスが提唱した考え方です。ギリシャ時代にすでに論理思考が確立されていたことには驚くしかありません。ちなみに、欧米では博士号のことを"PhD"と記述しますが、これは、Doctor of Philosophyの略で、現在の諸学問が、哲学(Philosophy)から派生したことに由来します。
それはさておき、「演繹」は正しい前提から推論して結論を導く方法で、「帰納」は複数の事象から結論を誘導する方法です。概念図を図2に示しました。帰納法はわかり易いですが、演繹法は意識して使わないと難しいですね。A=B、B=Cの時、A=Cが成り立つ、と考えれば理解しやすいでしょうか。
ルール3:上位のメッセージと、それをサポートする下位のサブ・メッセージは、結論と要因、あるいは総合と部分の関係にある
ルール2で示したのはいわゆるピラミッドストラクチャーの内部構造の話で、3以降はその作り方についての話です。内部構造には上下関係があって、各階層のレベル感があっている必要があります。すなわち、要素・要因が下で、総合・結果が上になります。これをチェックする方法としては、上位概念→下位概念(なせ?、Why?)、下位概念→上位概念(だから何、So What?)を常に意識すると良いです。
ルール4:上位のメッセージを支える下位のメッセージは、それらを総合すると、モレや重複が無いこと
ルール5:全体を支える最下部のメッセージは、事実、またはそれに近い疑いようのないメッセージであること
これは、論理を支えるピラミッドストラクチャーの最下部は事実(またはそれに近いメッセージ)で組み立てる必要があるということです。
■まとめ
上記ルール1〜5は非常に基本的で当たり前の話ですが、これを意識してスピーチをしたり、レポートや報告書が書けているかというと、また別次元の話ですね。当たり前のことを当たり前にこなすのは難しいですが、これを意識するのは大切なことだと思います。