ハカセKの書斎

ある技術者の独り言

限りある時間の使い方

時間を有効に使うことには誰しも関心があると思います。
そのために集中力を上げるスキルに目が行きがちでしたが、別の視点で書かれた本が目に留まりましたので手に取ってみました。
 
イギリスの全国紙ガーディアンの記者であるオリバー・バークマン氏による「限りある時間の使い方」という本です。
 
著者によれば、必要なのは効率を上げることではなく、その逆で、「 すべてを効率的にこなそうとするのではなく、すべてをこなそうという誘惑に打ち勝つことが必要だったのだ」ということです。
 
そのためには、物理的な面で仕事をタスクを減らすことと、精神的な面で完璧主義を捨てることが大切としています。
 
タスクを上手に減らす3つの法則として以下が挙げられました。
  • まず自分の取り分をとっておく
    これは、自分のための時間をあらかじめスケジュールに入れておこうということです。
  • 「進行中」の仕事を制限する
    まず、重要な仕事を3つまでに制限します。その上で、そのうちの1つが完了するまで他の仕事は一切やらず、マルチタスクを避けることがポイントだそうです。
  • 優先度「中」を捨てる
    優先順位が中くらいのタスクは、邪魔になるだけなので捨てる方が良いそうです。
 
この辺はよくある話だと思いましたが、それ以降の精神面での考え方が私にとって参考になりました。具体的には、完璧主義を捨て、今を生きることです。
 
まず、完璧主義の捨て方ですが、次の二つが挙げられていました。
 
  • 完璧に没頭できる状態を夢見るよりも、嫌な気持ちをそのまま認める。
  • 「未来はけっして確実ではない」という事実を受け入れる。  
 
これは簡単そうで意外と難しいと思います。
実践のために大切なこととして、著者は以下のように言います。
 

「何が起ころうと気にしない」生き方とは、未来が自分の思い通りになることを求めず、したがって物事が期待通りに進むかどうかに一喜一憂しない生き方だ。それは未来を良くしようという努力を否定するものではないし、苦しみや不正をあきらめて受け入れろという意味でもない。そうではなく、未来をコントロールしたいという執着を手放そうということだ。そうすれば不安から解放され、本当に存在する唯一の瞬間を生きられる。つまり、今を生きることが可能になる。

 

今を生きるって、難しいですよね。
今に集中しようとすればするほど未来や過去のことを考えてしまったりしてしまう自分がいます。そういう時、著者は、「自分は今ここにいる」という事実に 気づく こと、不快な感じを受け入れる、ことが大事と言います。不快な感じを受け入れる、というのは腹落ちしました。
 
その上で、今を受け入れつつ前に進むためには、ほんの少しの量を毎日続けることが重要とのことです。
 

「すべての問題を解決済みにする」という達成不可能な目標を諦めよう。そうすれば、人生とは一つひとつの問題に取り組み、それぞれに必要な時間をかけるプロセスであるという事実に気づくはずだ。

 

著者は、今を生きることを本当に理解するためには、自分への質問が大切と言います。著者が重要とする5つの問いを列挙します。
 
  1. 生活や仕事のなかで、 ちょっとした不快に耐えるのがいやで、 楽なほうに逃げている部分はないか?
  2. 達成不可能なほど高い基準で 自分の生産性やパフォーマンスを判断していないか?
  3. ありのままの自分ではなく 「あるべき自分」に縛られているのは、どんな部分だろうか?
  4. まだ自信がないからと、 尻込みしている分野は何か?
  5. もしも行動の結果を気にしなくてよかったら、 どんなふうに日々を過ごしたいか?
 
特に、1は繰り返し自分にしてみたい質問だと思いました。
言い換えると、「この選択は自分を小さくするか、それとも大きくするか?」という問いになるそうです。迷った時はこの判断が人間的成長につながるかどうかで判断するのが良さそうですね。