ハカセKの書斎

ある技術者の独り言

論語

 論語は座右の書の一つで何度も読み返しているつもりでしたが、全体をくまなく読んだことはありませんでした。今回、現代語訳論語という本で論語の全体を読み直したときに、後半部分で新たな気づきがありました。それは、巻末近くの「季氏第十六」という章に孔子が考える有益なものと有害なものを三つづつ列挙した項を見つけたことです。人間、強調したいことは最後に念押ししたくなるもので、これを俯瞰すると孔子が言いたいことを再認識できると考えました。

 
 例えば季氏第十六」の4はこんな感じです。
 
<読み下し文>
子曰く、益者三友、損者三友。
直を友とし、諒を友とし、多聞を友とするは、益なり。
便辟を友とし、善柔を友とし、便佞を友とするは、損なり。
 
<現代語訳>
先生がいわれた。「有益な友が三種、有害な友が三種ある。人間のまっすぐな〈 直〉なる者、誠実な者、知識のある〈 多聞〉の者を友にするのは有益だ。反対に、まっすぐものを言わないで追従する者、裏表があって誠実でない者、口ばかりうまい者を友にするのは、有害だ。」
 
 このような表現が友、楽しみ、などに分けてしばらく続きます。これを有益なものと有害なものに分けてまとめたものが以下になります。
▪️有益
友:真っ直ぐな者、誠実な者、知識のある者
楽しみ:礼儀と音楽をきちんと行なう、他人の善行や美点をほめる、すぐれた友だちが多い
君子が畏れ敬うこと:天命、人格のすぐれた先輩、聖人の言
 
▪️有害
友:まっすぐものを言わないで追従する者、裏表があって誠実でない者、口ばかりうまい者
楽しみ:度を越して 驕 楽 する、なまけて遊ぶ、酒におぼれる
戒め:(青年期)男女の情欲、(壮年期)人と争い闘うこと、(老年期)財貨を求めすぎる欲
 
 こうして友、楽しみ、畏れと戒めの面で孔子の言葉を俯瞰すると、改めて孔子が、常に自分を高める努力をすること、誠実に生きることが大切である。そのために良い友人を持ち、勉学を楽しむことが重要である、と考えていることが実感できました。
 
 このことを一番よく表していると私が考える孔子の言葉を二つ引用します。
 
先生がいわれた。「学び続け、つねに復習する。そうすれば知識が身につき、いつでも活用できる。実にうれしいことではないか。友人が遠くから自分を思い出して訪ねてきてくれる。実に楽しいことではないか。世の中の人が自分のことをわかってくれず評価してくれなくても、 怒ったりうらんだりしない。それでこそ君子ではないか。[学びて時にこれを習う、また 説 ばしからずや。 朋 あり、遠方より来る、また楽しからずや。人知らずして 慍 みず、また君子ならずや。」
先生がいわれた。「学ぶにおいて、知っているというのは好むには及ばない。学問を好む者は、学問を楽しむ者には及ばない[これを知る者はこれを好む者に 如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず]。」
 今年も約半分が過ぎてしまいましたが、今一度初心に戻り、人生を楽しみたいと思います。